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カラカラに乾いた白い砂
贅肉なのか筋肉なのか分からないが丸っこいピッチャーが下から速い球を次々にほうってくる。 僕は右のバッターバックスにたち、一球、一球、軽くバットを振ったりして、 ピッチャーのリズムに乗せられないように、警戒する。 ランナーは2塁でヒットを打てば恐らく点数が入るだろう。 ピッチャーは眼窩をすべてふさいだスポーツサングラスを七色に光らせて、 目や表情から気をうかがうことはできない。 少しでも弱気になれば、内野ゴロやフライで終わってしまいそうだ。 落ち着こうと、もう一度バッターボックスの砂を スパイクで平坦にならす。 砂埃と白線の石灰が顔の高さまで舞い上がり、 舌が苦くなる バットを高く天につきさし、青空を見上げた後、 再び肩越しにピッチャーの見えない目を探す。 ゆっくりと外角高めに入ってきた灰色のボール 僕はその玉を思い切り叩きつけた。 カキーンという音が高校球児を連想させて気恥ずかしかったが、 確かに玉足速くセンター前にヒットを打った。 僕は相手チームに一矢を報いる一点を稼ぎ出した 網野智世子 評価 PR |
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